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2024年6月12日 18:21

更新

2024年7月17日 3:42

道内未利用資源を活用したアップサイクル製品の開発:北海道未来技術レポート#1【ほっかいどうDX促進事業】

全体公開

北海道未来技術レポート #1 道内未利用資源を活用したアップサイクル製品の開発

みなさん、こんにちは。

ほっかいどうDX促進事業事務局の河井と申します。

地域課題および未来技術について、北海道未来技術レポートの第1弾情報をお届けさせて頂きます。

ぜひご覧頂き、関心をお寄せいただけると嬉しいです。

国内での食品ロス(本来食べられるのに捨てられる食品)は全国で570万トン。国民一人当たり換算で45kg/年とのことです。一人ひとりがおにぎり1個分の食品を毎日捨てている量に相当します。

北海道ではそのうち34万トン前後となっています。北海道は恵まれた土地資源や自然環境を生かし、国内最大の食料供給地域として安心・安全な食料を供給する重要な役割を担っており、食品ロスの削減は、食育の推進やSDGsの達成に資する重要な取り組みです。食品ロスは、事業系・家庭系の双方から発生しており、その削減に向けては、消費者や食品関連事業者、関係機関・団体など様々な道民の方々が主体的にそれぞれの役割を理解し、実践することが重要です。

食品ロスには食べ残しのみならず、農業などの一次産業の現場での生育不良による廃棄、食品の流通過程において規格から外れたり、消費期限切れなどにより発生する廃棄、製造過程における製造副産物の廃棄、そして家庭内や外食などの消費の過程における、消費期限切れや調理時の廃棄などもあります。

また今回着眼している課題としては食品廃棄物以外にも森林などの剪定・伐採後に発生する木材や、畑の剪定・収穫後にでる茎や葉、穀物の脱穀時に発生する籾殻、バイオマスなどの一次産業の製造過程ででる産業廃棄物や、工業製品の製造現場における製造副産物へ対処などや、『石油依存からの脱却』として、石油などの化石資源を生物由来の素材に置き換え、さらには微生物など生物の能力を活用して有機化合物などを作り出す、持続可能な製造プロセスを取る「バイオものづくり」などの対応が必要です。

国民一人ひとりにSDGsなど環境意識が高まる中、「農産品の高付加価値化」に向けては上記の課題に対応した環境負荷の少ない商品開発、差別化戦略が地産品の開発に求められます。

未来技術の企業について【株式会社ファーメンステーション】

 ファーメンステーションは「Fermenting a Renewable Society(発酵で楽しい社会を!)」をパーパスに、未利用資源を再生・循環させる社会の構築を目指すバイオものづくりスタートアップです。独自の未利用バイオマス・微生物データベースと発酵アップサイクル技術を活用し、フードロス/ウェイストおよびその他未利用バイオマス由来のバイオ素材を開発・製造しています。発酵アップサイクル技術の基盤と開発するアップサイクル原料をもとに複数の事業を展開しており、化粧品等の原料製造・販売を行う「原料事業」、パートナー企業と共創し食品・飲料工場の製造過程等で出る副産物・食品残さ等をアップサイクルしたバイオ素材等を開発する「共創事業」、アップサイクル原料を活用し原料提案から製品開発まで一貫して引き受けられる化粧品・ライフスタイル製品等の「OEM/ODM事業」、オーガニック化粧品を展開する「自社ブランド事業」を行っております。

 また、地域社会、環境、カスタマー、従業員に対して多面的・包括的な利益を生む事業活動を実践する企業を認証する国際的な制度「B Corp 認証」を取得しており、経済産業省から「J-Startup」「J-Startup Impact」に選定されています。

(※)アップサイクルとは

 リユース(再利用)、リサイクル(再循環)と異なり、廃棄物や副産物など、従来、不要と考えられたり有効活用されていないものを、様々なアイデアや手法でさらに価値の高いプロダクトに転換すること。

(技術の概要)

酵素・微生物ライブラリによる独自の発酵技術を活用し、幅広い未利用バイオマスの発酵が可能です。加えてそこから素材、再修製品の企画提案・製造までワンストップで対応できる点に独自性があります。この技術により、これまで使途が限られてきた道内の特色のある産物(昆布・アカモク等の海藻類、ハスカップ・ビーツ等農産品、薬用植物等)に新たな価値提供可能性が生まれる点に新しい課題解決の可能性があります。

同社は、岩手県奥州市に製造拠点を持ち、既に同技術を活用した様々な未利用バイオマスのアップサイクルに取り組んでおり、地域の一次産業パートナーとともに地域内資源循環を実現しています。

基幹産業である農業、食品製造が盛んな北海道において、農産品の高付加価値化やアップサイクルによるロスの抑制と高付加価値製品の開発は必要技術であるため、道内未利用資源(昆布・アカモク等の海藻類、ハスカップ・ビーツ等農産品、薬用植物等)や規格外の農産物、食品・飲料工場から出る製造副産物を活用したアップサイクル製品開発にかかる実証事業に意義があります。

この未来技術は独自の発酵技術を有し、幅広い未利用バイオマスに適応した化粧品・食品等の素材開発や商品開発が可能です。未利用バイオマス/発酵により製造される素材・最終製品のいずれかが新規であれば社会実装前に「実証・技術検討」が必要であるため、同社がこれまで取り扱ったことのない北海道に固有かつ新規のバイオマス利活用が進むことは、新たな地域課題解決型共創モデルに繋がると想定されます。

『株式会社ファーメンステーション 取締役COO 北畠様』

北海道には魅力的な農作物や海産物、食品・飲料のブランドが多くあります。今後、さらに産地としてのポテンシャルが高まっていく中で、必ず伴うのが規格外の農産物や加工工程の製造副産物といった未利用バイオマスの活用課題です。グローバルで進む脱化石燃料のトレンドの中で、身の回りの様々な素材をバイオマス由来に置き換える動きが加速していますが、北海道の未利用バイオマスは今後「ゴミ」ではなく貴重な「資源」となるポテンシャルがあり、弊社の技術を活用したアップサイクルを通じて、戦略的な素材化・商品化が大きな産業になるポテンシャルを秘めると考えます。地域の魅力ある資源をアップサイクルし産業化する取り組みをご一緒できればと思います。

『岩手県 奥州市 市民環境部長兼GX推進室長 及川 協一 様』

市と(株)ファーメンステーション様との連携は、平成21年の「米からエタノールと餌を作る地域循環型実証プログラム」に始まりました。その後、実証成果から独自の発酵技術による商品開発や多角的な事業展開に取り組まれ、未利用資源の再生・循環分野の革新者となられたことは周知のとおりです。市は、地域の資源循環、エネルギー創造のため、多様な主体が参画する地域循環社会の形成を目指しており、令和5年3月に締結した同社との地域連携協定によりその取り組みを加速させ、協働で推進してまいります。

また、市のビジョンの一つに「ひとづくりは、まちづくりにつながる未来への投資」があり、地域課題解決の実践に人材育成を重要視しております。同社を中心とした団体を講師に、ヒマワリ油から循環型農業と持続可能性を学ぶイベントが開催されるなど、多くの市民や子供たちへの学習機会創出にもご協力いただいているところです。

(左)株式会社ファーメンステーション代表取締役 酒井 里奈、(右)岩手県奥州市 倉成市長 (2023年3月8日)

地域課題:規格外の農産物や食品・飲料工場から出る製造副産物をアップサイクルすることで、廃棄処分等で生じる環境負荷低減し、同時に新たな素材や商品として経済価値を持つ新商材創出につながるため、農産品の高付加価値化・差別化、新たな地域ブランティングが期待できます。

想定地域:「農産品の高付加価値化」に取り組んでいるエリアや、地域商社と連携し道の駅運営に関わる等、地域産品開発に積極的なエリアなど

(期待効果)

未利用資源のアップサイクルによる農産品、地域産品の高付加価値化。

• (従来の廃棄に代替することで)環境負荷の低減と廃棄コストの低減。

• 農産品、食品残渣が豊富な北海道への展開意欲も高く、各地の地域商社との連携等、広く横展開が期待されます。

ご関心・ご相談等については

下記コメント欄に記載頂くか、ほっかいどうDX促進事業事務局の河井までご連絡頂ければ幸いです。

hokkaido_dx_sokushin-ml@east.ntt.co.jp

ほっかいどうDX促進事業事務局 河井宛

【本メールは北海道庁総合政策部次世代社会戦略局から「ほっかいどうDX促進事業」の業務委託の一環として情報配信させて頂いております。今後随時様々な未来技術レポートの情報提供を予定しております。

 メールがご不要の方、追加希望がございましたら配信メールのformsまでご連絡ください】

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