Tailor Works
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2021年10月27日 19:00

【Tailors #4 後編】コネクタ目線でのコミュニティは、偶発的な繋がりを生む場所

全体公開

「Tailors」では、地域のコミュニティで継続的、持続的に社会課題を解決する仕立て人の皆さんにお話を伺っていきます!


ゲストは、kipples代表の日比谷 尚武(ひびや なおたけ)さんです。「人と情報をつなぎ、社会を変える主役を増やす。」をテーマに、セクターを横断するコネクタとして活動されています。



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大塚:今日は、日比谷 尚武さんにコミュニティに関するお話や、現在コミュニティを運営されている方々のヒントとなるような事例などを伺っていきたいと思っています。日比谷さん、後半もよろしくお願いします!


日比谷:よろしくお願いします!


様々な繋がりによって、新しいものが生まれる。コネクタには、これを体現する意味合いがある


大塚:今回は、日比谷さんのコミュニティ論や哲学に触れていきたいと思います。まず最初に、日比谷さんは「コネクタ」という肩書きで活動されていますが、日比谷さんの考えるコネクタはどんなものなのでしょうか?


日比谷:コネクタという肩書きがオフィシャルにあったわけではないんですけれども、僕がSansanにいる時に、勝手に名乗って付けて以来、ずっと使っているものですね。Sansanには「名刺や人との繋がりを大事にして、そこからイノベーションが生まれる」という思想がありました。当時は、弱い繋がり理論やオープンイノベーションという言葉が再注目されたタイミングで、早稲田大学の入山さんとかと議論しながら、「繋がりが、いかにオープンイノベーションや新しい何かを生むのに大事か」ということを議論したり発信したりしていました。

その中で、自分自身の元々の資質も相まって、「色々な人と出会って生まれた会話を社内に持ち帰ったり、外の人同士を繋げたりすると、新しいものが生まれる」というのを体現していこうという意味合いがコネクタにはあります。エバンジェリストや広報担当としてサービスの価値を語っても良かったんですけれども、名前を付けてしまったという感じですね。


大塚:私の感覚として、日比谷さんは、人と人を繋ぐだけのコネクタでもないなと思っています。私の周りにも、コネクタと名乗って人繋ぎ紹介業をされている方はそれなりにいるんです。

でも日比谷さんの場合、その会社の広報戦略を一緒に考えたり、生活相談や人生相談など、あらゆることまでしてくださるお兄さんという感じでいつも頼らせていただいています(笑)そういう役割の方が、企業の中にコーディネーターのような立場でいらっしゃれば、その企業が進化する良いきっかけの1つになるのかもしれないですね。


日比谷:コミュニティというのは、そもそも新しい何かとの繋がりを生み、コネクタ的なものが内包されているものだと思います。



日比谷:左側の図のように、課題のある人同士を繋げることで成果に繋がるだろうと思っていたんですけれども、右側の図のように、繋がる可能性のある人をとりあえず場やコミュニティに入れていくとそこで勝手に繋がると考えるようになりました。

そう考えると、目的を持って繋がるよりは、ゆくゆく繋がりそうな人がいて何か起こるんだろうという感覚でやると「狙った設計では起きない、偶発的に起こる場があっても良いんじゃないのか」というのがコネクタ目線でのコミュニティの1つのあり方ですね。


設計を固めすぎないことが大事


大塚:なるほど!よくコミュニティオーナーの方からの質問や悩み相談で伺うのが「偶発性をどうやったら引き出せるか、演出できるか」ということです。演出する時点で偶発的ではないのかもとか、主催者が全部決め切ってしまっていて緩さがないなぁとか、逆に緩すぎて何の会だったんだっけ?とか…このバランスが難しいですよね。

セレンディピティを生み出したい時に、日比谷さんは「とりあえず突っ込んでおけば、なんとかなるだろう」という感じはありますけれども、内心凄く丁寧に突っ込んでいらっしゃるんだろうなと思っています。


日比谷:そこは、よくご相談いただきますね。今も、とある後輩から「とある地域で人が集まるバーを作りたいです。どういう設計をすれば良いでしょうか?」みたいな相談が来るんですけれど、僕はそこまでカチッと設計したことがないんですよね。

考えすぎるとできなくなってしまうので、半分くらい捨てたら良いんじゃないのかっていうのは話しましたね。


大塚:考えすぎも良くないですよね。


日比谷:ITの世界だとアジャイルに作って、世の中のニーズと自分のプロダクトとの調整期間が必要といいますけれど、コミュニティでも同じかなと思っています。自分の思い通りに動くわけじゃないと思うので。


コミュニティがフェードアウトすることは仕方ない


大塚:日比谷さんの中で、もうちょっと長く続けたかったけど終わっちゃったとか、ちょっと心残りがある活動とかってあるんでしょうか?


日比谷:いっぱいありますよ(笑)


大塚:あるんですか!


日比谷:基本はフェードアウトもありです。メンバーの物理的な制約で集まりにくくなったり、金銭的なことだったり、フェードアウトにも何かしらの理由があります。

過去に10個以上のプロジェクトを仕掛けてきたり、辞めてきたりしたので、思い返すと色々ありましたね。でも全部に理由があるので、終わってしまうことは仕方ないと思っています。


大塚:私も自分の中でも思いつくものがありすぎます。私も日比谷さんと同じく、考えることが好きで、こうやってみようと踏み出すところを沢山やってきましたが、消えていったものにしがみつかなくて良いと自分の中では思っていますし、それもまた1つの考え方だと思っています。


日比谷:そうなんですよね。理由がありますからね。


ありのまま受け止めると、本質が見えてくる


大塚:私は普段から話すのが得意じゃないんですけれども、いつも日比谷さんは真剣に聞いてくださるので、色々と相談したいなと思っています。日比谷さんの中で、話の聞き方の工夫はありますか?


日比谷:僕は、好奇心がベースとして強いです。この人のこの状況って何が起きているんだろうとか、ありのままをなるべく受け止めたいと思っているところがベースにあると思います。

どこかを切り取ろうとすると、本質が見えないんじゃないかと思っています。こういった内容は「7つの習慣」とかにも書いてありますね。


大塚:私はつい自分の主観が入ってしまって、この人にこうして欲しいという思いから誘導してしまうことがありますね。ありのまま受け止めるって大事ですね。


日比谷:特にコミュニティは、多くの人が集まってその場で色々な交流が発生するので、その時の感情や下心があって成り立つものだと思うんです。システムプログラミングで作るものじゃないから、ルールに当てはめていくとか、デジタルのように物が進むものじゃないよねと思います。それがコミュニティの面白いところだと思っていますね。


大塚:それを面白いと思えるから、参加者の方は、その場でありのままの自分を発揮できるんですね。


日比谷:それが良いかなと思っています。


大塚:上司からコミュニティを作れと言われて、業務を遂行している方も視聴者の中にいるかもしれませんが、もしかしたらルールを決め過ぎているかなと思うところがあるかもしれないですね。

枠に当てはめすぎずに、コミュニティの熱量が自然と上がっていくように、自分自身を発揮できる環境というのが鍵かもしれないです。


日比谷:企業のファンを作るとか、それによってその物を売るとか、LTVや商品の利用率を長くするみたいなコミュニティマーケティングの手法をする時と、趣味のコミュニティではそれぞれの目的が違います。

僕は、コミュニティマーケティングよりかは、地域と繋がりの高いコミュニティを創ることを想像して話をしていたので、マーケティング手法だと話は変わってきますね。どちらにしろ、固めすぎると失敗すると思っています


大塚:トライ&エラーで、試行錯誤してやっていくということですね。ありがとうございます!


何かのタイミングでコミュニティとの共通点が見つかる。それまではコミュニティのことを無理に理解しなくても大丈夫


大塚:日比谷さんが過去の色々なコミュニティとの付き合い方を振り返る中で、4点ほど大切にしていたことを書かれていたものが凄く響いたので、ご紹介してよろしいですか?


日比谷:はい、お願いします。


大塚:1点目は「最初は、興味や縁でとりあえず飛び込む」、2点目は「趣旨もメンバーも背景もよく理解できないまま、ゆるゆるとお付き合いを続けて」、3点目は「気付くと他の活動とシンクロしたり、シナジーが見つかり」、4点目は「想定外の出会いやコラボレーションに繋がる」。これがまさにだなぁと思いました!


日比谷:これは、参加する側の立場として書いた記事だと思います。

例えば、「拡張家族」といわれるような、ある特定の場所に皆で住んで、血縁関係はないけれど家族だと認識して付き合うことで、何か変わるんじゃないかと思い、そこのメンバーの主席をやってみました。また、今回の投稿のきっかけになったのは、英治出版さんが運営しているコワーキングスペースに関わってみたことでしたね。それ以外にも、色々なコミュニティに1メンバーとして入っていく時の様子を書いたものです。


大塚:すごく納得しました。


日比谷:初めから、運営者の意図やどんな人選をしているのかは分かっていたんですけれども、最初から詳細には分からないです。無理矢理分かろうとするのではなくて、少しずつ付き合っていくと、何かのタイミングでそのコミュニティと自分との深い共通点が分かってくるんですよね。そこから急に自責を持って関われるようになっていった時に、やっとコミュニティと自分が繋がっていく。これが繰り返されているなと思っていますね。


大塚:ありがとうございます!最後に私がまとめるまでもなく、日比谷さんの哲学をお聞きできました!

こちらの番組をご視聴いただいて、日比谷さんに興味を持ったり、相談してみたいなと思ったりした方は、是非日比谷さんのkipplesのHPをご覧いただけたらと思います。そして、落ち着いたら日比谷さんに直接お会いして、飲み会したいですね(笑)


次回ゲストのご紹介


大塚:次回ゲストは長田 涼さんです!長田さんはコミュニティマネージャーをされていて、日比谷さんからのご紹介でお話を伺う予定になってますので、是非皆さん、次回も楽しみにしていてください。

本日は、日比谷さんに色々な失敗談、成功談など、ヒントとなることを沢山いただきました。日比谷さん、お忙しいところ本当にありがとうございました!


日比谷:ありがとうございました!

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