Tailor Works
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2021年10月27日 19:00

【Tailors #4 前編】コミュニティは「変化を前提」に、皆で作り上げる

全体公開

「Tailors」では、地域のコミュニティで継続的、持続的に社会課題を解決する仕立て人の皆さんにお話を伺っていきます!


今回のTailors(シタテビト)は、kipples代表の日比谷 尚武(ひびや なおたけ)さんです!「人と情報をつなぎ、社会を変える主役を増やす。」をテーマに、セクターを横断するコネクタとして活動されています。主に、広報、マーケティング、新規事業、コミュニティ、トライセクター関連を中心に活動されている日比谷さんにお話を伺いました。




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大塚:本日、モデレーターを務めさせていただきます。大塚 智子と申します。よろしくお願いいたします!

私は、大分県別府市を中心に、創業支援の活動をしておりまして、実はそこでも、本日のゲストの方とお付き合いがあります。頑張る方やチャレンジャーの方々の役に立ちたいと思い、2年ほど活動をしております。

それでは本日のゲストをご紹介します。日比谷 尚武さんです!


日比谷:こんにちは、お久しぶりです!


大塚:お久しぶりです、ありがとうございます!私は、福岡県から収録に参加していますが、日比谷さんはどちらからでしょうか?


日比谷:今日は、渋谷の某所から参加しています(笑)


大塚:某所ですね(笑)場所を明かすと、皆が日比谷さんに会いに行ってしまいますもんね!


日比谷さんのご紹介


大塚:まず私から、日比谷さんの他己紹介をさせていただきます。日比谷さんは、kipples代表で、「人と情報をつなぎ、社会を変える主役を増やす。」をテーマに、セクターを横断するコネクタとして活動されています。広報やマーケティング、新規事業、コミュニティ、そしてトライセクター関連を中心に活動されています。肩書きが沢山あるんですが、一部を紹介します。一般社団法人 at Will Work 理事、一般社団法人 Public Meets Innovation 理事 、そしてProject 30(渋谷をつなげる30人)エバンジェリスト。また、公益社団法人 日本パブリックリレーションズ協会 広報副委員長、ロックバーshhGarageの主催など、様々な活動をされている日比谷さんにお話を伺っていきたいと思います。


日比谷:よろしくお願いします!もうここだけでお腹いっぱいですね(笑)


大塚:日比谷さんの存在は、珍しいけど、今風だなぁと思っていまして。複業のような働き方をされていて、日比谷さんのように働きたいと思われる方も増えてきていると思うんですよね。実際に、日比谷さんに相談される方も増えてきているんですか?


日比谷:こういう活動はずっとやっているので、特別新しいことを始めたわけではないんです。でも、この数年で働き方に関するご相談をいただくことや、そういったテーマでの登壇依頼の機会は前より増えていますね。


多面的な活動に取り組むことで、出会う場面ごとに様々な顔を持つ


大塚:日比谷さんといえば「広報のプロ」と思われている方もいれば、「shhGarage(ロックバー)のオーナー」と思われている方もいればというように、出会う場面で印象が変わりますよね。


日比谷:そうですね!各活動に対して、自分はそれなりに理由があって本気でやっています。しかし多面的な活動をしていると、私の一面しか見ていなかった人は、しばらくすると他の尾ひれの部分が見えてきて、混乱するような現象が起こっていますね(笑)


大塚:それもあって、HPでの掲載やブランディングをされているんですか?


日比谷:先日SNSにも書きましたが、HPに情報をまとめた理由は2つあります。1つ目は、僕としては自分なりのストーリーがあって様々な活動をしているのですが、相手側に混乱されるケースが多いということ。2つ目は、せっかく知り合った方には一つの顔だけではなく、別の側面でも関わりを作り、お手伝いや興味を持ってもらうということ。チャンスを広げるには、多面的に見てもらえる方が良いなと思って、HP上で説明できるようにしています。


大塚:今回、日比谷さんとお話しすると決まってから、kipplesのHPを見させてもらったり、日比谷さんの記事を読んだりしました。私自身は、日比谷さんのことを知っているつもりだったんですけれども…全然知らなかったんだなと思いました(笑)


日比谷:大塚さんには、僕がベンチャーの広報をしている頃に勉強会に参加してもらいましたね。イベントや地域の話でも関わりがあるので、いくつかの側面を見ているはず(笑)


大塚:知っているはずではあるんですけれども、今回、日比谷さんの哲学や思想に触れる機会をいただいて、改めて尊敬しました。


日比谷さんのキャリア変遷


大塚:私と日比谷さんは出会って、3〜4年くらいなんですけれども、今回は、初めての方に分かりやすく日比谷さんのキャリアをご紹介させていただきたいです。こちらの資料がとてもわかりやすいですね!



日比谷:この図は左から右に進んでいまして、10代から始まって45歳まで、私の人生がどんな変遷をしてきたのかという図です。 真ん中に黒とグレーの矢印があります。

優等生だった小学生の頃から始まって、大学生でフリーランスを始め、NTTグループに入りました。20代半ばで後輩達が作った会社でCOOを務め、上場を狙ってIPO直前までいっていたんですけれども、ライブドアショックで中断しました。その後は学生時代の同級生が名刺管理サービス「Sansan」を作るタイミングでSansanへジョインして、30代はSansanにどっぷり関わっていました。マーケティング、広報、エバンジェリスト、コネクタと幅広く活動して、40歳になってから独立しました。こういった活動をしながらも多くの課外活動にも取り組んでいて、メンタルのアップダウンを繰り返しながらやっていました。


大塚:この図だけで、ご飯何杯かいけそうですけれども(笑)黒矢印が時系列で、グレーの矢印がキーワードですか?


日比谷:そうですね。上の黒矢印が所属や肩書きで、グレーはその中での役割ですね。

下の方の欄外にあるのは、サブ活動を一部抜粋したものですね。


大塚:日比谷さんのブログで面白かった部分があって「バンドの経験で、自分が一番前に立つというよりかは、裏方や事務局長のような立場に面白みを覚えた」と書いてありました。それが、shhGarageなどに繋がっていくんですかね?


日比谷:今日のコミュニティの話にも繋がるんですけれども、表に立って活動するよりは、企画・運営をして、人が動いたり物事が進んだりする仕掛ける側の方が楽しいです。これは、高校の頃のバンドや、文化祭の実行委員をやっていた頃から変わっていないということに最近気が付きました。


大塚:課外活動から発見したことも多いんですかね?


日比谷:学校や社外の企業とのプロジェクトに関わったり、NTTグループ時代にベンチャー企業とお付き合いしたり、ベンチャー企業の時も違う業界の方とお付き合いしたりする中で、面白い話が入ってくることもありました。多動なのかもしれないですね。


大塚:私も多動一族なので分かります!自分では気付かなかった深みが出てきますよね。


日比谷:自分の所属している組織で見えない強みが見えることもあるし、新しいジャンルに興味を持つこともありますし、外に出ると色々な出会いがありますよね。


ロックバー「shhGarage」について


大塚:そんな中で、日比谷さんの広報勉強会に参加させていただいて、一風変わっていて面白いなぁと思ったのが、「shhGarage」です。shhGarageの始まりについてお話を伺わせていただきたいです。

日比谷さんがSansanにいらっしゃった時に、株式会社クリスクの芹沢さんとお会いして、小規模イベントや大規模なイベントをやる中で、「人が集まる場所を作ろうと思った」と書いてありました。実際にやってみて、周りの方々にはどんなうねりが起こっていたんでしょうか?



日比谷:そうですね。これは6〜7年前から始まった活動で、僕ともう一人のメンバーがレコードを集めていて、そのレコードを聞く場所を作ったところから始まりました。気付いたら友達や口コミで人が集まってきて、密度の濃い場所になっていきましたね。後半は、クラウドファウンディングでお金を集めて、店舗を構えることができたのでほぼ毎日営業していました。

実は最初は、「友達同士で集まる場所」として考えていて、外のお店ではなくその場所を覗きに来てもらうがてら飲まない?みたいな感じでやっていたんです。そして、気付いたら口コミで常連ができて、40〜50人が集まる場所になっていきましたね。


大塚:私が行ったのは渋谷のお店でした。その時に、日比谷さんが良い感じにレコードをかけてくださって、私はカッコつけてモスコミュールを飲んでいましたね(笑)

その時に嬉しかったのが、「僕はこういう者なんですけれども、大塚さん何をされている方なんですか?」みたいに気軽に話せたり、日比谷さんが触媒的に会話に入ってくれたりしたことです。そうやって話せる場所は大切ですよね。


日比谷:最初は、出会いや繋がりを作る気はなかったんですけれど、自然発生的にそうなっていきました。僕は、多様な人と繋がって、その繋がりからインプットを得ることで助けられてきたことが多いので、他にもそれを望む人がいるなら繋いでいこうかなと思っていましたね。繋がりの場として計画はしていなかったんだけれども、結果として繋がる場になっていったんですよね。


大塚:そうだったんですね!私はてっきり、日比谷さんが広報関連の方に知られていて、その場にいる方も人に何かを伝えるようなお仕事をされていたので、この場が1つの広報関係者の集まりになるように設計されたのかと思っていました。


日比谷:結果的にそうなっただけですね。コミュニティには、いろんな形があると思っていて、地域に根ざしたコミュニティもあれば、特定の目的のあるコミュニティもあると思います。ただ、shhGarageに関しては、「音楽が好きで、お酒を飲むのが好きな人が来れば良い」みたいな感じだったんですけれども、色々と派生していって、そのうちの1つが繋がり合ったようなイメージですね。



大塚:なるほど…!コミュニティ論については、各自治体や各地域の方が「作るぞー!」という感じで旗揚げされている方が多いと思います。 「コミュニティ」という言葉が少し浮いた状態になってしまっていて、コミュニティが何者か分からないまま「何かしなければ…!」と取り組んでいる場合もあると思います。

あまりに最初に計画を立てすぎたり戦略的になりすぎたりすると、生き物とも言われるコミュニティは最終的に消滅してしまうことも多い気がしていて。そんな中で、このshhGarageは自然体なコミュニティだなと思いました。


日比谷:最初は恵比寿や五反田で運営していたのですが、もっと本格的にやろうと思って、渋谷に移す際にクラウドファンディングで500万円くらい集めました。これがきっかけで注目されるようになり、同じようにお店やコミュニティを作りたい方が相談に来ることが多かったですね。

でも、この時に相談に来た方は、最初から月に数百人が集まるようにしたいという完成イメージを持っていることが多かったです。僕らの場合は、ただただ仲間が楽しく集まる空間を作ろうということから始まり、結果的に色々な人が集まって来るので、勝手に創発が起こったんです。それが起こったら拒みはしないし、活性化させるイベントをやったこともありましたね。


大塚:理想を作ると良くないのかもしれませんが、主催者がガツガツと毎回コミュニケーションを取らなくても、こういう風に参加しているメンバー同士で自然発生的に進んでいくようなコミュニティは良いですね。もしかしたら、主催者が置いてきぼりになるぐらいがちょうど良いのかもしれないですね。


日比谷:置いてきぼりですね(笑)急に連絡が来て、「何時にここで待ち合わせで!」みたいなことがよく起こってましたね。


大塚:なるほど、ありがとうございます!shhGarageについて私が深くお聞きしたかったので、とても嬉しかったです!


目的の違うコミュニティ作りで意識していること


大塚:それでは、ちょっと質問の角度を変えてみます。日比谷さんは、一般社団法人 Public Meets Innovation など自治体や国の政策に近しい活動もされていると思います。shhGarageのような緩やかなコミュニティと、地域で KPI を持ってしっかりとやっていくコミュニティとでは、コミュニティの作り方で意識されているところは違いますか?



日比谷:今、パブリックセクターの方々と活動しているものが3つあります。まず1つ目に、「Public Meets Innovation」というのは、若手の官僚の方々とイノベーターと呼ばれる起業家の方や起業家を支援される方を繋ぐ活動です。2つ目は、渋谷のまちづくりのプロジェクトで「渋谷をつなげる30人」という活動があって、ビジョンの実現や課題解決を地域の方を巻き込んで、トライセクターで実現するというものです。この5年でおこなっているプロジェクトで、その運営に関わっています。3つ目は、「at Will Work」の働き方改革の啓発的な発信をする活動を5年ぐらいおこなっていましたけれども、その際は経産省や厚労省の方々と一緒に進めていました。

コミュニティではあるんですけれど、各活動での目的や巻き込む人の多様さや前提がバラバラなので、その場その場で設計が変わってくるなと今の質問で思いましたね。


大塚:私も色々なコミュニティに参加させていただく際は「どこを目指していきたいのか」というところに注目するようにしていますね。そこからブレなければ、その後の設計は皆で相談して進めていけば良いと思って活動しています。


日比谷:「皆で」と「変化を前提に」というのは、どこも共通しているかもしれないですね。


大塚:ダーウィンの進化論ですね。


日比谷:環境適応していきますよね。shhGarageは、繋がりや話題性は計画もしていなかったですし、むしろ「クローズドでいいじゃん」と思っていたけれども、広がってしまったパターンですね。

それこそ、at Will Workは、 新しい働き方をもっと知ってもらいたいと思って、議論できる場を作りました。結果的には、働き方にチャレンジしたり、色々なことを提唱したりする方が集まる議論の場にもなりました。そこで意見交換をしたり、派生したイベントが起こったり、良いムーブメントの種が作れたと思っています。横で一緒になって勉強したり、発信したり、共同するような仲間を作る場でしたね。



大塚:at Will Workもとても参考になります。「自分たちの組織の素敵なストーリーを教えてください」というストーリー応募型のものがありますよね。そこを1つ目標にして、どんなに小さい町、組織、学校であっても、「自分たちのチームはこんなに良いんだ」ということを再認識できる場にもなっています。本当に感動する取り組みだなといつも思っています。


日比谷:ありがとうございます!!


大塚:前半では、日比谷さんの人となり、そして日比谷さんの活動内容や活動の広さについて、色々とお聞きしました。後半は、日比谷さんにコミュニティオーナー、コミュニティマネージャーが陥る点やヒントとなるようなところを伺っていきたいと思います。

引き続き、ご視聴ください。ありがとうございました!

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