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2021年10月27日 12:00

【コラム】関係人口とは?(2)

全体公開

前編に続き、こちらは後編となります。

後編では、具体的な例を挙げながら理解を深めていきましょう。



<目次>

  1. 関係人口創出のための地方自治体による取組事例
  2. 協同保全活動「ふるさとプロボノ」の課題解決型地域交流プログラム
  3. 地域づくりサポート「こえび隊」のボランティアサポーター活動
  4. 地域づくり実践「ひろしま里山ウェーブ拡大プロジェクト」の地域貢献マッチングプロジェクト
  5. 行政による関係人口創出・拡大事業
  6. 関係深化型
  7. 関係創出型
  8. 裾野拡大型
  9. 裾野拡大(外国人)型
  10. 関係人口の創出・拡大における現状と課題
  11. まとめ



1.関係人口創出のための地方自治体による取組事例


a.協同保全活動「ふるさとプロボノ」の課題解決型地域交流プログラム

都市住民が農山漁村の暮らしを体験し、かつ本業で得たスキルや知見を使って地域課題を解決するプログラムです。 2011年に取り組んだ兵庫県豊岡市、北海道下川町の2地域で行ったパイロットプロジェクトを起点に、北海道から九州までおよそ70以上の地域でプログラムが開催されています。

関係人口に関する取組一覧|関係人口ポータルサイト


b.地域づくりサポート「こえび隊」のボランティアサポーター活動

瀬戸国際芸術祭と通年開催されているアート作品の展示イベント「ART SETOUCHI」のPRやイベント運営・手伝い、各島での催しのサポートなどを行う活動です。

取り組みを通して、島と外部の人とのゆるやかなつながりが形成され、多様な交流が生まれています。

関係人口に関する取組一覧|関係人口ポータルサイト


c.地域づくり実践「ひろしま里山ウェーブ拡大プロジェクト」の地域貢献マッチングプロジェクト

東京に住む若者を中心に、地域社会への貢献意識が高い方々と安芸高田市や江田島市、大崎上島町など広島県の中山間地域とのマッチングを図るプロジェクトです。

東京で開催される講義や2泊3日のフィールドワークを通して、半年間かけて地域に関わり、その人ができる地域への関わり方を検討し、実行までを伴走します。

実践までのプロセスでは、地域との関わりで生まれる人とのぬくもりやかけがえのない体験を得られることが評判を生んでいます。

関係人口に関する取組一覧|関係人口ポータルサイト



2.行政による関係人口創出・拡大事業


行政の取組は主に以下の4つに分けられます。


a.関係深化型

関係深化型の取組は2通りあります。

1つが取り組みに賛同する地域にゆかりがある人と地域のマッチング機会を提供する「ゆかり型」。

2つ目はふるさと納税制度を利用し、ふるさとに関心を持っている人に対して地域と継続的な関係をもつ機会を提供する「ふるさと納税型」です。


<取組を行なっている地域>

【ゆかり型】

  1. 新潟県村上市
  2. 新潟県燕市
  3. 長野県泰阜村 など


【ふるさと納税型】

  1. 福井県坂井市


b.関係創出型

関係創出型は、これから新たに地域と関わりたい人と地域がつながる機会を提供する取組です。

地域課題やニーズと関係人口の思いやスキルをマッチングし、地域経済の活性化につなげます。


<取組を行なっている地域>

  1. 福島県矢祭町
  2. 千葉県館山市
  3. 鳥取県鳥取市 など


c.裾野拡大型

地方公共団体が地域住民と地域団体・NPOと連携し、訪日外国人との交流を促進して地域との継続的なつながりを生み出す取組です。


<取組を行なっている地域>

  1. 宮城県丸森町
  2. 北海道秩父別町
  3. 徳島県阿南市
  4. 秋田県横手市
  5. 熊本県菊池市 など



3.関係人口の創出・拡大における現状と課題

国や地方自治体が関係人口の創出に力を入れていることもあり、取組は広がっているものの課題も生まれています。

関係人口の創出や拡大における課題でまず挙げられるのが、関係人口市場のレッドオーシャン化です。

全国にいる18歳以上の居住者の20%弱、1800万人近くが関係人口というデータもあるなかで、さまざまな民間企業、地方自治体が参入しており、関係人口の取り合いになっています。

こうなると、知名度が高くない地域やアクセス条件の悪い地域は戦略的にPRを実施しなければ関係人口の創出は難しく、さらなる地域格差を助長してしまう懸念があります。

また、関係人口の創出に関する取組は増えているものの、継続的に都市住民と関係を構築する手法は確立していないのが現状です。

特に、地方都市ではIT化やDX推進への遅れもあり、適切に地域の魅力や情報を都市住民へ届けられていないことも関係人口創出や拡大を阻む要因として考えられます。

今後は行政も含めて、どのように地域外の都市住民を巻き込み、継続的に関わり合いを持てる仕組みを確立できるかがカギとなるでしょう。



4.まとめ

最後に、ここまでの内容をまとめます。


  • 18歳以上の居住者の20%近く、1800万人近くが関係人口とされている
  • リモートワークをはじめとしたライフスタイルの変化により、地域へ滞在する、地域社会との関わりを持ちたいというニーズが増加傾向にある
  • 関係人口という地域外の人材の手を借りることで、地域課題や地域社会が抱える後継者不足、働き手不足といった課題を解決できる
  • 関係人口市場の成熟化に伴い、関係人口の取り合いが起こり、より地域格差を助長してしまう懸念もある

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